
「売って終わり」ではなく、お客様と長期的に伴走する事業へ。
株式会社ファインズでは現在、フロー型事業で培ってきた強みを生かしながら、継続的な収益基盤となるストック型事業の強化を進めています。
その中核を担うのが、制作を担うコンテンツソリューション部とカスタマーサクセス部を統合して発足した「カスタマーリレーション部」です。従来のサポート部門の枠を超え、自ら売上を生み出す組織への改革に取り組んでいます。
今回は、株式会社ファインズ 取締役執行役員 カスタマーリレーション部 部長の佐藤翔太氏に、改革の背景と具体的な取り組み、今後の展望を聞きました。
組織改革で生産性と品質を両立する

——今回、コンテンツソリューション部とカスタマーサクセス部が統合し、カスタマーリレーション部として新たに発足したとお聞きしました。そもそも、それぞれの部署がどのような業務を担当していたのか教えてください。
「コンテンツソリューション部」は、営業が受注した案件について、お客様の課題に沿った制作を進め、課題解決の第一歩をつくる部署です。動画の制作や予算管理を主な業務として行っていました。一方、「カスタマーサクセス部」は、納品後のお客様に長期的に伴走し、成功へ導く部署です。具体的には、月1回のフォローアップや改善案の提出を行っています。また、広告運用とカスタマーサポートも担っています。今期からこの2つの部署を統合したのは、お客様への対応を一本化し、これまで以上にサポート力を高めるためですね。
——部署の統合に至る以前、課題となっていたことはどのようなことでしょうか?
生産性の向上とプロダクトの品質向上、この一見トレードオフの関係にある2つをどう両立させるか、という部分に課題を抱えていました。実際、当社は営業力が強く納品数も多いため、生産性が重視される傾向がありました。そうしたなかで品質を維持していくことが難しい面があったと感じています。
そこで、まずはプロダクトの内製化チームを結成し、工数やKPI、成果などをデータで可視化するデータドリブンな運用にすることで、社内でクリエイティブに関するPDCAを回せるように仕組みづくりを開始しました。
社長への直談判からスタートした「ストック型事業の強化」

——内製化やデータ化を進める一方、カスタマーリレーション部はストック型事業の強化に取り組んでいますよね。佐藤様が三輪社長に実施を直接提案されたと聞きました。
私がストック型事業の強化を行いたいと思った理由は、おもに3つあります。
1つ目は、上場準備を進めるなかで、フロービジネスだけではお客様への価値提供を最大化できないと感じたことです。
2つ目は、ストック型事業によって安定した売上基盤をつくり、将来予測を立てられるようにしたいと考えたこと。これは株主の方からの評価を考えた上でも重要です。
3つ目は、サービスの保守やサポートを担う機能が集まるこの部署が、会社にどう貢献し、その価値をどう高めていくかを考えたことです。
こうした課題に対する答えの一つが、ストック型事業の強化でした。しかし率直にいえば、私自身がストック型事業の強化に取り組みたい気持ちが強かったという部分があります。フロー型事業のみの場合、常に新しい商材をつくり続けなければならず、単発の課題解決で終わることも多い可能性があります。
また、ストック型事業でお客様に長期的に関わることで、お客様が抱える経営課題の解決に挑戦したいという思いもありました。
当社はWeb広告系の商材が中心ですが、今後取り組みたいのは労務やDX化など、お客様の根幹にある課題です。中小企業では、そうした領域に十分取り組めていないケースも多いのです。経営課題を本質的に解決しながら、長期的に必要とされる存在になりたいと考えていました。
「支える部門」から「価値を生む部門」へ

——ストック型事業強化に対して、具体的にどのように取り組んでいるのでしょうか?
まずは、受け身になりがちなサポート部門を「攻め」のサポートに変える、という部分ですね。たとえば、サポート中に顕在化したニーズを営業へつなぐ、などです。サポート部門だけでなく、制作部門も、制作中に見つけたニーズを営業へつないでいくことを目標として掲げています。
また、省人化も取り組みの一つです。これは利益確保の観点から行っており、今期から3年ほどで現在の業務に当たる人員を半分にする目標を掲げています。ただし、これは単純に人を減らすという意味ではありません。
AIや自動化ツールを使い、これまで人が担ってきた業務を置き換え、空いた人員を、より多くのお客様に対応する業務や、売上をつくる部門へ再配置したいと考えています。売上を維持しつつ原価を抑え、人材を新たなステージへ送り出すイメージですね。
——この取り組みには、サポート部門が売上にも貢献できる組織へと進化する狙いもあるように思えます。
そうですね。ただ攻めのサポートと省人化だけでは、部署として売上に直接貢献するところまでは届きません。
そこで、カスタマーリレーション部は、自分たちでも売上をつくっていくことを考えています。現在進めているのは、当社のオフィシャルサイトに各商材のサービスページをつくり、コンテンツ運用を通じて、お客様からの問い合わせや受注につなげるプロジェクトです。10月中にまずは1商材のサービスページを公開し、その後はコンテンツを増やしながら見込み顧客を獲得していく計画です。
制作部門で、公共団体や官公庁、大手企業の案件を積極的に獲得する取り組みも行っています。
こうした案件はコンペ形式で選定されることも多く、当社のお客様の中心である中小企業とは進め方が異なります。規模の大きな案件に関する知見を蓄積できましたし、そこで得た制作実績を、営業担当者が提案する際にも活用してくれています。
ストック型事業が生む好循環

——部署統合やストック型事業強化の取り組みを推進することで、カスタマーリレーション部に対する社内からの見え方に変化はありましたか?
制作部門によるプロダクトへの評価には変化がありました。特に以前から在籍している社員には「制作物がよくなった」と思ってもらえているのではないでしょうか。また、私たちが営業へ案件をつなぐことで、営業担当者が目標を達成することも多く、その意味でも、喜ばれていると思います。
——実際に、会社全体の売上や経営にはどのような影響をもたらしていますか?
フロー型事業では、毎月ゼロから売上を積み上げる必要があるため、どうしても直近のアポイント数や受注数に目が向きがちでした。
一方、ストック型事業は、契約が積み上がることで中長期的な売上を予測できます。そのため、社内でも「このペースで積み上がれば、数年後にはこの規模になる」といった、将来を見据えた会話が生まれるようになりましたね。
また、ストック型事業で得た知見を、フロー型事業におけるお客様へのアプローチに生かすなど、両事業の間には良い循環が生まれています。新しい商材ができた際には、ストック型事業を通じて継続的に関わっている既存のお客様へ提案できることも、大きな強みです。
私自身も、こうした好循環があることで、部署のメンバーに対して、「ストック型事業をさらに強化し、部署として成長していこう」というメッセージを伝えやすくなりました。
——こうした社内の好循環が、お客様からの反応として表れている部分はあるのでしょうか?
そうですね。長期的に関わるほど、お客様の課題を正確に把握でき、状況に合った提案ができるようになります。「効果が出た」「話を丁寧に聞いてもらえてよかった」といった嬉しい声も多くいただいています。
もちろん、大きな成果が出ているお客様ほど、私たちの提案を主体的に実行してくださっているという側面もあります。私たちからの提案と、お客様自身の行動が組み合わさることで、より大きな成果につながっているのではないでしょうか。
カスタマーリレーション部の進化がパーパス実現を支える

——今後、カスタマーリレーション部をどのように進化・成長させたいですか?
今回、2つの部署を統合したことで、これまで部署間で分断されていた情報を統合できるようになりました。これによって、既存のサポート体制をより強く、厚くしたいと考えています。そうすれば、目の前の課題だけでなく、「何のために集客するのか」といった、お客様の本質的な課題まで考えられるようになります。
また、先ほど話した、売上をつくっていくプロジェクトの成功も、目下の目標です。既存事業を支えるだけでなく、新たな事業の柱をつくることができれば、カスタマーリレーション部は本当の意味でプロフィットセンターになれると考えています。
——最後に、カスタマーリレーション部の成長を会社全体へ、どうつなげていきたいか教えてください。
お客様との接点をつなぎ、LTV(生涯顧客価値)を最大化することで会社の売上・利益に貢献し、その先にあるパーパスの実現を、私たちが基盤となって支えていきたいと思っていますね。
「会社やお客様だけでなく、その先にある社会を少しでもよくしていきたい」
佐藤氏は、ファインズでの自身の取り組みが目指すところをそう語ります。
お客様との継続的な関係を、より深い課題解決と新たな価値の創出につなげていく。
その積み重ねが、ストック型事業の成長だけでなく、ファインズの新たな経営基盤を形づくっていくのかもしれません。









