
人材獲得競争の激化や、Webマーケティング市場の高度化が進むなか、動画を主軸としたフロービジネスから、継続支援型のストックビジネスへ。そして、Webマーケティングの枠を超えたソリューション提供へ。
ファインズの変革は、事業モデルの進化にとどまりません。組織体制や制度設計まで含めた経営改革が進んでいます。
その中心にあるのが、「企業と地域社会の未来に、テクノロジーの追い風を。」というパーパスです。
パーパス実現のための経営改革は、どこまで実装されているのでしょうか。経営戦略室長・土屋政紀氏、副室長・渡邊康宏氏に話を聞きました。
経営改革で進む、社員の自律

——ファインズでは現在、パーパス策定を経て、「広報PR」「組織・人事制度」「CxO人材の採用」「教育・研修制度」「採用強化」「営業力強化」とカテゴリや段階をいくつかに分けて経営改革を進めていますよね。現在、それぞれどのように進捗しているのでしょうか?
土屋:経営改革では、パーパス&バリュー策定、広報PR、組織・人事制度を1st Stageとしています。とくに広報PRは好調です。
オウンドメディアのPVやユニークユーザー数も順調に伸びていますし、その影響でメディアからの取材依頼も増えています。ファインズのブランドがメディアを介してステークホルダーへ徐々に浸透していると感じます。

広報PRの好調は社員の士気にもよい影響を与えていますね。
オウンドメディアに自分の社内での取り組みを取り上げてほしい、オウンドメディアと連携させるためのホームページの再構築を行いたい、など、広報PRに関わることに手を挙げてくれる社員が増えました。パーパスを受けて、社員が自律的に行動しています。
渡邊:取引先企業や株主の方々も、私たちの広報活動に目をとめてくれています。オウンドメディアや他メディアでの掲載を見たという声をよく聞きますね。
土屋:ただ、現状の進捗度としては、まだ半年程度なので好調とはいえ4~5割というところでしょうか。ファインズを取り上げたいというメディアを増やし、第三者の目を通した情報を世の中に発信することで、よりファインズのブランド力に対する信憑性が上がると考えています。
——組織・人事制度についてはいかがでしょうか?
土屋:組織・人事制度については現在、パフォーマンスマネジメントにおける1on1の実施やOKRの策定、エンゲージメントサーベイ、さらにCxO人材の採用などを実施しながら構築中の段階です。
すでに1on1については、クラウドサービスを活用して体系化・標準化し、新たな方法で運用を開始しています。これまでは業務内容の確認に偏っていた1on1を、個人の働き方や考え方にも広げて引き出す方法に変更しました。
1on1の内容は、本人の意思で公開できる仕組みにしています。これによって、他部署から多くのコメントが来てコミュニケーションが活性化されたり、ノウハウを共有できたりというメリットも生まれていますね。

渡邊:社員のパーソナリティに触れるやりとりが増えたことは、非常に大きな変化ですね。
お互いに心を開くことによって、これまでの1on1では出てこなかった話題が出て、より社員同士の関係性が深まっていると感じます。また、それを上司からの指示ではなく、自律的に自分たちの意思で行っている部分が多く見られるようになりました。
——教育・研修制度や採用強化、営業力強化についてはすでに進んでいる部分はありますか?
土屋:教育・研修制度と採用強化については2nd Stage、営業力強化については3rd Stageとフェーズを分けています。教育・研修制度と営業力強化については、まだ企画段階の部分にありますが、採用強化についてはすでに採用方法の見直しなどを行っています。
現在2次面接では、部署ごとに求める能力やスキルを明確にし、求職者の能力を定量化することで、部署と求職者のマッチ度を可視化するようにしています。また、今回の経営改革において重要なのは、パーパスを軸に組織の方向性を揃えることです。1次面接では、ファインズのパーパスにどれだけ共感しているかをテーマにした対話を行っています。
パーパス実現のために必要なさらなる施策とは

——すでに進んでいる経営改革の中でも、特に組織・人事制度の部分が現在大きな動きを見せているように感じます。1on1やOKRなど、具体的にどのように進めているのか、方法やその効果について教えてください。
土屋:1on1は先述のように、社員のパーソナリティに踏み込んで、さらに社内にその内容を公開する形で行っています。社員の夢や目標の実現はもちろん、社員のエンゲージメント向上も1on1の目的です。
渡邊:先ほど、1on1の内容を社内のシステム上に公開し、アクションやコメントをもらうことができると話しましたが、実はすべてを公開する必要はなく非公開にすることも可能です。しかし、ファインズのカルチャーもあるのか、多くの社員が1on1の内容をオープンにしています。幹部層が積極的に自分たちの1on1を公開したり、アクションやコメントをしたりすることで、その動きが社員に波及して活性化されているように思います。
土屋:他部署の社員へのアクションやコメントも多いです。経営陣からそういったアクションを求められているわけではなく、自分たちで自発的に行動しているのです。こうした部分ひとつとっても、策定されたパーパスやバリューが社員に浸透してきているのを感じますね。
渡邊:パーパスやバリューが社員に浸透している一方、パーパス実現に向けてさらにもう一段、組織としてのパフォーマンスを上げていかなければなりません。
そのために、導入を進めているのがOKRです。現在、第1階層として経営陣の目標策定が完了しています。それに紐づく目標を第2階層の部長クラス、第3階層の課長クラス、そしてそのあとに全社メンバーという形で、展開していきます。
トップの目標をパーパスの実現にすることで、ファインズのメンバー全員の目標が、パーパスに紐づく形になり、個人の動きが組織の成長につながる形になるのです。
土屋:一般的には、OKRの目的を業績アップやキャリア開発に設定するケースも多いですが、ファインズではそれらもすべてパーパスを実現するための目標のひとつとしています。
仲間を集めることも改革の重要なピース

——組織改革という部分で具体的に行っていることは、CxO採用とM&Aでしょうか?
渡邊:そうですね。実はCxO採用についてもM&Aについても、経営改革を始める前から必要性は議論されていました。しかし、とくにM&Aに関しては、パーパスがない状態でなかなかその道筋を定めづらかったという部分がありました。
経営改革をスタートしたことで、どういった企業にお声がけすべきなのかが明確になり、相手の企業にもM&Aの目的を伝えやすくなったり、共感をしてもらいやすくなったりと、物事がスムーズに進んだ印象があります。
土屋:CxO採用やM&Aは、外部から採用された方が上司になったり、カルチャーの違う方々がグループに加わったりと、社員にとっては外部要因的な変化が大きいものです。
しかし、社員から反発の声はないですね。
外部招聘と内部昇格の人材のバランスを取り、しっかりとパーパスが共有されていることがその要因だと感じます。
——M&Aなどは一見、事業戦略に寄った施策に見えますが、これらもすべてファインズのパーパス実現につながるものなのですね。
渡邊:おっしゃる通り、M&Aは一見すると事業戦略に寄った施策に見えるかもしれません。ただ、私たちにとってはあくまでパーパス実現のための手段のひとつです。
私たちはパーパスとして「企業様や地域社会の皆様を後押ししたい」という思いを掲げています。しかし、現在のアセットだけでは実現できない領域もあります。その部分を補完し、提供価値を広げるための施策がM&AやCxO採用です。パーパス実現のための、優秀な仲間を増やす取り組みというイメージですね。
社員のパフォーマンスとブランド価値向上のために

——ファインズの経営改革はまだ進行中ですが、今後、重点的に進めていきたい改革や、目指していきたい姿について教えてください。
土屋:経営改革で、ファインズが原点と定めたのがパーパスです。そのパーパスを実現するためには、まず会社自体が高いパフォーマンスを発揮できる組織でなければなりません。

そのためには、社員一人ひとりが自分のキャリアを自律的に描き、チャレンジしていける環境が必要です。それを前提に、会社全体のパフォーマンスと、個人のパフォーマンスがしっかりと結びついている状態をつくっていきたいですね。
そして、企業としてのブランド価値が高まることも、パフォーマンスの最大化につながると考えています。
社員が「ファインズで働いている」と誇りを持っていえること、周囲から信頼され、認知される会社になること。そうした状態をつくることが、社員のモチベーションやパフォーマンスを高めます。それが、結果としてパーパスの実現につながるのです。
パーパスを軸に、広報や採用、営業強化が連動し、組織に定着したとき、はじめて持続的に成果を出せる会社になれると考えています。
パーパスはただ掲げて終わるものではなく、体現するものです。パーパスが社員一人ひとりの挑戦を後押しし、組織の力となります。その力が「ファインズ」というブランドを形成し、パーパスの実現に寄与していきます。
事業も、制度も、人も。すべてを“追い風”に変えていく。その成果が問われるフェーズは、これから本格化していきます。

