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(右)株式会社オルプラ 代表取締役社長 鈴木健太 (左)株式会社ファインズ 営業推進部 主任 近藤大伍

M&Aは、成立して終わりではありません。いかに互いの強みを掛け合わせ、新たな価値を生み出していけるか。その後の動きが重要です。

2026年1月、ファインズのグループ会社となったオルプラ。同社はグループイン後、ファインズの持つ知見を活かし、AIによる履歴書生成アプリの開発などの具体的なシナジー創出を進めてきました。

その具体的な取り組みを推進してきたのが、株式会社オルプラ代表取締役社長の鈴木健太氏と、業務統合のシステム領域を担当したファインズ営業推進部 営業企画課 主任の近藤大伍氏。

2人の連携について、周囲からは「スピード感や柔軟な発想がある」との声も上がっています。2社はどのように統合を進めてきたのか、そして今後どのようなシナジーを生み出していくのか。両社の連携を担った2人に話を聞きました。

経営基盤の強化から、シナジー創出へ

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——オルプラ社の事業内容について教えてください。

鈴木:当社は人材紹介や採用代行業務を行っています。単に人材を紹介するのではなく、役員運転手やタクシードライバーなどモビリティ業界の乗務員の紹介と、未経験から事務職を目指す方の転職支援を行っているのが特徴です。

なかでも注力しているのが、未経験層への転職支援です。現在の転職市場では、ハイキャリア・ミドルキャリア向けサービスが充実する一方、未経験者が十分に相談しながら伴走支援を受けられるサービスは多くありません。

当社では、「今いい場所にいる人を、よりよい場所へ」という支援ではなく、「進む道に迷っている人を、もう一度レールに戻す」支援を目指しています。

また、キャリアアドバイザー自身も未経験からスタートしたメンバーが多く、求職者の不安や悩みに寄り添える点も強みです。


——オルプラは2026年1月、ファインズのグループ会社になっています。グループインすることで、期待していた点を教えてください。

鈴木:大きく二つあります。

まずは、従業員が安心して働き続けられる環境を整えるという「守り」の部分です。

当社はベンチャー企業ということもあり、バックオフィス体制など、まだ整備し切れていない部分がありました。ファインズにグループインすることで、経営基盤をより強固にできるのではないかと期待していました。

そしてもうひとつが、よりよいソリューションを提供するための「攻め」の部分です。

近年はショート動画の普及などにより、文字情報だけで求人の魅力を伝えることに限界を感じる場面も増えています。

ファインズが持つ動画マーケティングの知見を取り入れることで、これまで十分に伝えきれなかった紹介先企業の魅力を、求職者により具体的かつリアルに届けられると期待しています。


——オルプラのグループインに際し、近藤さんはPMI(M&A後の統合プロセス)に関わることになったとお聞きしています。その理由やきっかけを教えてください。

近藤:PMIには、経営体制を整理する「経営統合」、企業文化をすり合わせる「意識統合」、そして制度や社内システムを整える「業務統合」があります。私が担当したのは、そのなかでもシステム領域を中心とした業務統合です。

PMIでの基盤整備が一定程度進んだタイミングで、オルプラの強みをさらに活かすための「攻め」の事業統合へとフェーズが移りつつありました。

そうしたなかで、これまで社内でAI推進やDX化を担当してきた知見を活かし、業務効率化や生産性向上を推進する役割として私がPMIに参画することになりました。


——業務統合を行う際、課題や障壁はありましたか?

鈴木:先ほどお話ししたように、「守り」の基盤が十分に整っていなかったこともあり、業務の進め方や価値観など、企業ごとの「当たり前」の違いが障壁になる場面はありました。

ただ、ファインズが非常に丁寧にヒアリングを重ねながら柔軟に進めてくれたため、大きな混乱なく乗り越えられたと感じています。

近藤:たしかに、企業文化や業務上の「当たり前」をすり合わせる部分には気を使いました。ただ、オルプラ側も自社の風土や考え方を積極的に共有してくださったので、実際には大きな障壁を感じる場面はほとんどありませんでした。

とくに、今回開発したAIによる履歴書生成アプリはスムーズでしたね。鈴木社長がAIへの理解や関心を持たれていて、実現したいことが明確だったこともあり、非常にスピーディーに進んだ印象があります。

現場の困りごとから生まれたアプリ開発

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——履歴書生成アプリはどのような困りごとから生まれたアプリなのでしょうか?

鈴木:当社では、キャリアアドバイザーが未経験の求職者や紹介先企業の方々と向き合う時間こそ、最も価値のあるものだと考えています。

さらに私たちは、就職や転職そのものを「目的」ではなく、「人生をより良くするための手段」だと捉えています。そのため、希望年収や条件面だけでなく、ときには家族構成やお子様の年齢といった背景まで丁寧にヒアリングし、本当に目指すべき将来に向けたアドバイスを行っています。一人ひとりにしっかり時間を使い、人生に寄り添う支援を行うこと。それが、当社の目指す就職・転職支援です。

一方で、これまでは履歴書や職務経歴書の作成業務に多くの時間が割かれていました。その結果、本来注力すべき面接対策やフォロー、紹介先企業とのコミュニケーションに十分な時間を使えないという課題があったのです。

そこで近藤さんとともに開発に取りかかったのが、AIによる履歴書生成アプリです。
手書きやPDFの履歴書を、紹介先企業へ送付できる形式でデータ化できるため、作業時間の短縮だけでなく、転記ミスの防止にもつながっています。

また、個人のITスキルに依存せず、誰でも使いやすい設計になっている点も大きな特徴です。

近藤:鈴木社長が現場の課題を具体的に共有してくださったので、開発は進めやすかったですね。

私は、求職者や紹介先企業一人ひとりと深く向き合い、熱量を持って支援を行う姿勢こそ、オルプラの大きな強みだと感じています。その持ち味をさらに活かせるよう、ボトルネックになっている部分を解消したいという思いで開発を進めていました。

また、このアプリ開発を通じて、私自身、多くの気づきがありました。
IT活用やDX推進は、「システムを導入すること」自体が目的になってしまうことがあります。しかし、オルプラが求職者一人ひとりと真摯に向き合う姿勢を目の当たりにし、改めて「何のためにシステムをつくるのか」を考えさせられました。

業務効率化そのものではなく、人と向き合う時間を増やし、その企業ならではの強みをより活かすことこそが、本来のDXであると実感しています。


——2026年4月からアプリを使い始めたそうですが、実際に現場で効果は感じられますか?

鈴木:これまでは、1人のキャリアアドバイザーあたり、1日2時間半ほど履歴書などの書類作成に時間を要していました。履歴書生成アプリの導入後は、平均して1時間ほど削減できています。

その結果、求職者や紹介先企業の方々と向き合う時間をしっかり確保できるようになってきました。キャリアアドバイザーが、本来注力すべき業務を「やりきれる」状態に近づいていると感じています。

こうした状態を維持することで、求職者にとっては「より自分に合った職場と出会える」、紹介先企業にとっては「よりマッチ度の高い人材とスピーディに出会える」といった価値につながっていくのではないでしょうか。

近藤:私のサポートが、オルプラの強みをさらに活かすことにつながっている実感があるのは、非常に嬉しいですね。

グループ会社だからこその強みとは

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——同じアプリ開発を行うにも、外部委託ではなくグループ内で連携して行うことの強みはどこにあると感じましたか?

鈴木:外注でのアプリ開発は、委託先にとっては「アプリをつくることが目的」になります。しかし、同じグループで連携するからこそ、目的を共有し同じ視座で開発が進められたと感じています。

また、連絡もシームレスに行えるので、実際の開発はもちろん、共通認識の形成もスピード感を持って行えました。

近藤:グループ内だからこそ、開発で得た知見やプロダクトを横展開しやすい点も大きいですね。

たとえば、今回の知見を活かして、将来的には人材紹介業を行う取引先へのソリューション提供につながる可能性もあると考えています。

グループ内で課題解決に取り組むことが、新たな顧客価値の創出につながっていく。そうした好循環をつくっていけるのは、大きな魅力だと思います。


——今後、両社の協力体制のもと、さらに改善していきたい部分はありますか?

鈴木:人材紹介の現場では、情報の齟齬が信頼を損なう大きな要因になります。そのため、キャリアアドバイザーが正確な情報を、できるだけ少ない工数で伝えられる仕組みを整えていきたいと考えています。

たとえば、冒頭でお話しした動画活用はもちろん、FAQの整備もそのひとつです。とくに当社はモビリティ業界に特化しており、キャリアアドバイザー自身も未経験からスタートしているため、非常に親和性が高い取り組みだと感じています。

モビリティ業界では、隔日勤務など特殊な勤務形態も多く、細かな説明が必要になるケースがあります。FAQを活用し、必要な情報を常に正確に取り出せる状態にすることで、情報の齟齬を防ぎ、キャリアアドバイザーの自信にもつながると考えています。

近藤:FAQについては、ファインズ内でもすでにbot形式で活用しています。こうした仕組みをグループ内で横展開できるのは、大きな利点ですね。

2社が生むシナジーが企業の採用を変えていく

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——最後に、ファインズとオルプラが手を取り合うことにより、今後期待するシナジーを教えてください。

近藤:ファインズの取引先には、採用に課題を抱える中小企業の方々が多くいらっしゃいます。
これまでもご相談をいただく機会はありましたが、人材紹介という領域において、十分な解決手段を提供できないことにもどかしさを感じていました。

しかし、オルプラがグループインしたことで、取引企業の採用課題に対し、より深く寄り添いながら具体的な解決策を提供できる体制が整ってきたと感じています。

とくにオルプラは、求職者一人ひとりと丁寧に向き合い、背景や将来像まで踏み込んだ支援を行っている会社です。ファインズが持つ顧客基盤と掛け合わせることで、企業・求職者双方にとって、よりよいマッチングを実現できるのではないかと期待しています。

鈴木:私は、人材紹介事業において「求人票をなくしたい」という展望を持っています。
一見、突拍子もない話に聞こえるかもしれません。しかし、ファインズとオルプラが手を取り合うことで、実現できる可能性があると感じています。

現在の人材紹介業界は、企業と求職者のあいだに複数の人が介在する「伝言ゲーム」になっており、情報量やニュアンスにどうしても齟齬が生まれやすい構造です。

だからこそ、ファインズが持つ動画マーケティングの知見を活かし、文字だけの求人票ではなく、動画を通じて企業の雰囲気を届けられるようにしたいと考えています。そうすることで、「思っていた職場と違った」というミスマッチも減らしていけるのではないでしょうか。

当社には、動画制作やSNS運用の知見はまだありません。一方で、求職者一人ひとりに寄り添い、深く向き合う支援には強みがあります。ファインズのマーケティング力と、オルプラの支援力を掛け合わせることで、求職者・企業双方にとって、より納得感のあるマッチングを実現していきたいですね。

 

ファインズとオルプラは、M&Aの成立をゴールとせず、互いの強みに着目し、気づきを共有し合いながら、新たなシナジー創出を目指しています。

「グループインした側だから」「子会社だから」——そんな立場の違いにとらわれることなく、互いに手を取り合いながら進む両社。その挑戦は、企業と求職者の出会い方そのものを変えていく可能性を秘めています。