
●この記事のポイント
・スマートフォンでの視聴を前提として制作される縦長型のショートドラマが急増
・「BUMP」「FANY:D」「POPCORN」など専用の配信アプリもダウンロード数・再生数が伸長
・撮影にかかるスタッフ数や期間も大幅に短くなり、同じコストで多くの作品を生み出せる
一般的なテレビのスクリーン形状に合わせた横長型のテレビドラマと異なり、スマートフォンでの視聴を前提として制作される縦長型のショートドラマが急増している。従来のテレビドラマの多くは一話あたりの長さが30分~1時間程度だが、縦型ショートドラマは数分程度なので、ちょっとしたスキマ時間に視聴できるのも特徴。「BUMP」「FANY:D(ファニーディー)」「POPCORN」など縦型ショートドラマ専用の配信アプリもダウンロード数・再生数を伸ばしている。同じく「縦型」の漫画専用アプリと同様に、初めの数話を無料で視聴できるようにして、途中回から有料になるというものが多い。縦型ショートドラマの世界市場は、2029年には556億ドル(8兆円超)の規模にまで成長するとの予測も出ている(市場調査会社YH Researchより)。なぜ新規参入が相次ぎ市場が拡大しているのか。また、収益化という面ではどのようなビジネスモデルとなっているのか。運営企業への取材をもとに追ってみたい。
なぜNTTドコモがショートドラマ?
自社制作のドラマが日本航空(JAL)の国内線・国際線の機内エンターテインメントにも採用されている「BUMP」は今年4月、ローンチから2年強で総ダウンロード数200万を突破。運営会社のemoleは2018年の設立。今年2月にローンチした「POPCORN」を運営するGOKKOは22年の創業で、縦型のスクリーンに合わせたセットをいくつも並べた自前の収録スタジオを持ち、企画から制作・配信までを全て自社で行っている。
スタートアップであるこの2社と“生い立ち”が異なるのが、「FANY:D」を運営するNTTドコモ・スタジオ&ライブだ。自社・他社向けの映像コンテンツ制作事業や音楽IP事業を手掛ける同社は、大手通信会社・NTTドコモと大手芸能プロダクション・吉本興業のグループ企業が共同出資して23年に事業を開始。24年12月にスタートアップのMintoと共同で「FANY:D(ファニーディー)」をローンチした。
携帯電話事業を手掛けるNTTドコモが、なぜ映像コンテンツ関連事業を手掛ける企業を設立したのか。NTTドコモ・スタジオ&ライブは次のようにいう。
「これまでNTTドコモと吉本興業が『FANYチャンネル』の共同運営など一緒に取り組みを行ってきたなかで、吉本興業の持つ映像コンテンツや制作ノウハウと、ドコモの持つ映像配信サービス『Lemino』をはじめとしたプラットフォームや顧客基盤を掛け合わせて、エンターテイメントビジネスをさらに拡大することを目的とし当社を設立しました。さまざまなパートナーやクリエイターとともに、世界基準のコンテンツを生み出していきたいと考えています」
同社の強みは「吉本興業のコンテンツ、制作能力とNTTドコモのビジネスネットワーク力を合わせ、市場にマッチングしたコンテンツを素早く制作配信できるところ」だというが、そもそも、なぜショートドラマの制作・配信に力を入れているのか。その背景や狙いが気になるところだ。
「スマホのコンテンツ消費が増えているなかで、スマホのスクリーンと消費行動にあったコンテンツは、何かと考える中で、『映画・テレビ→YouTubeなどの長尺動画→TikTokなどの短尺動画』という若年層の需要の遷移に着目し、ショートドラマに行きつきました。今は中国の市場が強く、日本でシェアも持っている会社がいないところにドコモグループとして参入し、業界全体で市場を大きくしていきたいと考えます」
同じコストで多くの作品を生み出す
ショートドラマの市場・需要の成長は現在、どのような状況なのか。
「中国とアメリカが先行し、日本では今、様々なプレイヤーが勃興し、急成長している市場です。日本だけでなくグローバルで勃興し、次の映像エンタメ市場の主役となると考えております」
従来の民放放送局のテレビドラマは、テレビ局が企画し、スポンサー企業から集める資金で大勢のキャスト・スタッフを起用して撮影し、地上波やネットで流すという形態が主流だが、縦型ショートドラマは、テレビドラマとどのような点が異なるのか。
「ショートドラマは隙間時間のエンターテイメントですので、展開が1時間ものドラマよりも速い点が最大の違う点です。また、撮影にかかるスタッフ数や期間も大幅に短くなっています。その分、同じコストで多くの作品を生み出すことができます」
では、収益モデルは、どのようになっているのか。
「1話ごとの課金になっています。いかに次のエピソードに課金していただけるかが勝負どころです」
(文=BUSINESS JOURNAL編集部)
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